あんころもち

【 学食バイト! 】



・学食バイト:皿洗い。


小腹を満たすために学食へ立ち寄ってみると注文した料理を待つ生徒が列を成しており、調理場の中も何やら慌しかった。
何かあったのかと調理場の方を覗き込んでみると、洗い場の方で業務用の鍋などと言った大型の調理具が間に合っておらず、
その結果、調理にも影響を及ぼしていたようだ。
洗い物をしつつ、調理に配膳にとバタバタと走り回るその様子はまさに戦場そのものだった。
(これは待つよりこっちをどうにかした方が良さそうだな……)
思い立つが早いか、調理場の中に入って調理士の森に声を掛ける。
「何か凄いことになってるけど、何か手伝う事ありますか?」
「お、丁度いい所に!洗い物が間に合ってないんだ、そっち頼む!」
洗われるのを待つ鍋たちを指差して森が指示するのを聞きながら手近にあったエプロンを掛ける。
「了解した!私に任せろ!!」
やる気を込めてエプロンの紐をギュッと縛り、目についていた業務用鍋を運ぼうとする後輩に声を掛ける。
「これは私が洗うから、あっちの小物を洗ってくれないか?」
「は、はい!」
バタバタと駆けていった後輩が水で滑りやすくなってる床に足を取られないか心配ではあったが、
それよりもまずは目の前につみあがっているモノたちを倒す事に集中すべきだと、意識を切り替えた。


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・学食バイト:買い出し。


「おーい、誰か手ぇ空いてるかー?追加の買い出し行ってきてくれー」
「はーい!」
森はその返事の主、利乃に近づくと一枚のメモを渡してきた。
「さっき別の子にも頼んだんだが、必要なものがまた色々出てきてな。頼んだぞ!」
「ああ、任された!行ってきまーす!」

渡されたメモを見返しつつ、歩きながら店の回る順番を考えているとすぐ目の前に買い物袋を抱えた女子が歩いていた。
一人で運ぶには多いだろうと思い、服装から見るに恐らく同じブキ高生だろうと推測したその彼女に近寄って声を掛ける。
「なあ、手伝おうか?」
「え?」
後ろから掛けられた声に振り返ったその女子は、推察通り生徒会の腕章を付けていた。
「それ、森さんに頼まれたやつなんじゃないのか?」
「え、ええ、そうですけど。あの、どちら様でしょうか?」
女子からの質問でお互い初対面だった事に気付く。後ろからいきなり声を掛けられたら不審に思いもするだろう。
「ああ、すまない。私はブキ高三年の金城利乃だ。好きに呼んでくれ」
「三年の方ですか。私は……ねことお呼び下さい」
自身の素性を明かした事で幾らかの警戒を解いてくれたのかニコッと微笑んだ彼女、音呼も名乗ってくれた。
「ねこ?可愛い呼び名だな。よろしくな、ねこ」

最初に音呼が持っていた荷物を持ちながら森に渡されたメモを見返すと、利乃の買い物は終わったようだ。
「私のはこれで終わりだな。あとはねこの方だな」
そう言いながら見やった音呼の表情は何かを言いたそうにしているように思えた。
「どうした?」
「りの先輩…言いにくいんですけど……」
利乃が音呼の顔を覗き込んだところで、音呼が口を開いた。
「ん?」
「まだ買うものあるんです…大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だぞ」
何か深刻な事かと思えば何て事は無かったその言葉に、あっけらかんとした表情で即答する。
今手に持っている袋があと二つ三つ増えたところでどうも変わらないし、
元よりメモを見せて貰った時から想定していた事だった。
「この重さだったらあと倍は持てるな。さ、遅くならない内に終わらせよう」
(…この人……すごい…)
ズンズンと歩みを進めていった利乃に、その後ろを着いて歩く音呼の感想など知る由もなかった。


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音呼さん(@ひさとさん)の買い出しのお手伝い兼バイトしてきました!
荷物持ちならまかせろーー!



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・学食バイト:買い出し。




端から端にまで聞こえる大声で挨拶します。