あんころもち

【 対峙! 】



長身揃いである騎馬は良くも悪くも目立つ。目立てば威圧にもなるが、それは時に目標とされる事もある。
「どけええええええ!!!!!!!!」
「おらぁ!!」
開始の合図とともにどの騎馬も一斉に走り出す。
目標の相手を目指して進もうとすると、利乃達の騎馬も例に漏れなかったらしく、まずはと言わんばかりに倒そうとしてくる敵の騎馬たちが多く押し寄せてきた。
時に騎馬となっている利乃が、時にすっかりやる気を漲らせた愛立が、押し寄せるそれらを蹴散らしていく。
「OK,このまま――」
「げぇ、凛ちゃん先輩のトコだ……」
進もう、そう言いかけた凛太郎の言葉に被るようにして目の前に現れたのは、以前の茶会で対峙した2年、ギンローと同級生の御剣がいるアジューテの騎馬。
宿敵の色同士、かつその面子の中に大小なりと因縁があればそこからやいのやいのと言い争いも始まる。
今回の場合は主に凛太郎とギンローである。
「でも今回は凛ちゃん先輩に負けるきしねーな!」
「Really?みせてもらいたいものだね!」
挑戦的な物言いを聞きながらも、上では互いに組み合うタイミングを見計らっていた。
すると、ギンローと御剣は何か打ち合わせを始めた。
「かげうち~~~~~~!!!」
掛け声と共に、相手は息の合った動きで膝もとを狙った攻撃に、たたらを踏む。
幸い倒れはしなかったものの、体勢を立て直している間に彼らの騎馬は遠ざかって行った。
「くっそぉ、アジューテのやつらぁ!!」
「愛立君は少し落ち着きたまえ。まずは目的を果たそうじゃないか」
「そういう事だ。御剣もあのギンローというのも早々にやられる風じゃないだろ」
離れていく騎馬の背を見つめながら上で悔しそうな声を上げる愛立を凛太郎が宥める。
確かに逃げられはしたが、かといってこちらが負けたわけではない。凛太郎の言葉に同意する利乃は意外にも冷静だった。
「おい、あそこ」
七星が指した方向を見ると騎馬戦の場に似つかわしくない、ツェクンの羽生音が率いる騎馬、もといリアカーが暴れまわっていた。
「よし、行くぞ!」
目の前の、今回の騎馬戦において最も倒すべき相手を捉えたそれぞれの目はまさに騎兵の如く燃えあがっていた。
「おう!!!」


・赤青の対峙はやっぱ欠かせないよねという事でギンローくんの記事に便乗させて頂きました!

お借りしました:七星くん(@琉花さん)凛太郎くん(@榎本けふさん)愛立くん(@八倉さん)ギンローくん(@ユレロさん)