【 小テスト! 】
うんうんと唸りながら教科書とノートに向かい合うが何処を抑えておけば良いか分かっていないのだから特に捗るわけが無かった。
どうやらその様子を見かねたらしい八角が声を掛けてきた。
「金城、どうした。分かんねぇ所でもあるのか?」
「いや、分からないってわけじゃないんですけど――体なまりそうで……」
ハハ、と思わず苦笑いをしながら言葉を交わすが、八角の言葉の中にはテストを前にした教師らしく厳しいものが滲んでいた。
「これやっとけ」
会話の途中、八角から渡されたのは一枚のプリントだった。内容を読むとそこには数問が書かれている小テスト。
なるほど、これをやれば多少なりのテスト範囲は抑えられるはずだ。
「ありがとうございますっ!よぉしやるぞ!」
「おーおー、その調子で頑張れ」
そう思いやる気が湧き上がり、八角の応援する言葉を聞きながらプリントと向かい合い、問題を目で追う。
国語は苦手ではないし、読みや書きの問題はサラサラと書きこめた。だが、次の問いに移ったところで少し手が止まった。
(う~ん、四字熟語って読みは覚えてても漢字が覚えられてないんだよなあ……)
音の響きでは覚えていてもいざ漢字で書けと言われるとすんなりとは出てこず、一思案する。
きゅうせいさいみん、ちこうごういつ。言葉そのものは頭に浮かんでいるのだが漢字が出てこない。
また再び、うんうんと唸りながら浮かび上がってくる漢字を一つ一つ当てはめては消していく。
それでも何とか考えこみ、浮かび上がった漢字を書きこんで何とか空欄を埋めて次の問題に移ると
そこに書いてあったのは『将来の夢について自由に書きなさい』の一文。八角曰く受験で必要となってくるという作文の練習らしい。
具体的な職種を目指している訳ではないが、何となく思い描いている理想を書きこんでペンを置く。
プリントを手にとって軽く見直すと八角に答えを聞くために席から立った。
・小テストにチャレンジ。最後の問題についてですが本人は至って真面目。
お借りしました:八角先生(@榎本けふさん)